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「卑わい」な行為って何だろう???  [弁護士業務雑感]



最高裁は昨日、ズボンをはいた女性のお尻を携帯電話のカメラで写真撮影した行為が「卑わいな行為に当たる」と判断し、迷惑防止条例違反で自衛官の男を有罪(罰金30万円)としました。

この男は、ショッピングセンター内を歩いていた女性(27歳)を背後から11回撮影。最高裁は、男が約5分間、背後から尻を狙って写真を撮り続けた点を指摘し、「社会通念上、下品でみだらな行為なのは明らか。被害者を著しく羞恥させ、不安を与えた」と述べました。
これは4人の裁判官の多数意見。1人の裁判官は反対意見を述べています。


この判断には、いろいろ疑問が残ります。

まず、何が「卑わい」な行為か、判決ではよくわかりません。スカートの中を撮影したのではありません。他人が誰でも見ることのできる衣服を撮影したに過ぎないのです。「セクシーだな」と思ってジーンズをはいた女性のお尻を1回でも撮影すれば、これだけで「卑わい」な行為となるのでしょうか。今回の事件のように約5分間にわたり、11回撮影したから「卑わい」な行為になるのでしょうか。では、7回はどうでしょうか。5回なら、3回なら?線引きがよくわかりません。

また、「被害者を著しく羞恥させ、不安を与えた」ことが「卑わい」な行為となる要件なのでしょうか。そうだとすれば、被害者の女性が「おしゃれな姿をたくさんの人に見てほしい」と思って自分の姿を写真撮影されても全然気にしない場合、「卑わい」な行為にならないのでしょうか。同じ写真撮影でも、被害者の内心によって「卑わい」な行為になるかどうか異なるのは、問題でしょう。


最高裁は、「卑わい」な行為かどうかは「社会通念」に照らして判断すべきだと考えているのでしょうが、カメラつきの携帯電話が普及している今日、誰でも見ることのできる衣服を撮影する行為がどんな場合に「卑わい」となるか、もっと明確なわかりやすい判断基準を示すべきです。

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