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8才の少女をレイプ→死刑はダメ [弁護士業務雑感]

8才の少女をレイプ→死刑はダメ

アメリカ連邦最高裁は、本日(現地時間25日)、注目すべき2つの判決を言い渡しました。

一つ目は、8歳の幼女を強姦した男に対する刑事事件。ルイジアナ州最高裁は、この男に対して死刑判決を言い渡しましたが、連邦最高裁は、「幼女に対する強姦は極めて悪質で社会に与えるショックが大きい。しかし、被害者が死亡していない事案で、被告人を死刑にするのは過度に重い刑罰であり、憲法に違反する」として、州最高裁の死刑判決を破棄しました。

二つ目は、タンカー事故で原油が大量に海に流出し、海洋汚染が生じたことによる損害賠償を求めた民事事件。この事件では、被害者に生じた実際の損害額は約500億円でしたが、連邦地裁は、この実損額に加え、約5000億円の懲罰的損害賠償の支払いを石油会社に命じていました。連邦最高裁は、実損額の10倍に相当する5000億円の懲罰的損害賠償はあまりにも過大であるとして、実損額と同等の500億円程度の懲罰的損害賠償が妥当であると判断しました。

この二つの判決は、いずれも過度な制裁を禁ずるものです。悪いことをした人を懲らしめることは必要であり、最近の日本では厳罰主義の傾向が見られます。しかし、アメリカのように行き過ぎてはいけません。被害者の感情も十分汲むべきですが、感情だけで厳罰を下してはいけない、それが法律の難しいところです。

とはいっても、8歳の幼女を強姦した事件では、判決文を読むと、被害者がかわいそうで涙が出てきます。連邦最高裁は理論重視で死刑を否定しましたが、州地裁で陪審員が死刑を選択し、これを州最高裁が支持したのも、なんとなく理解できます。

判決文は下記のサイトで読めます。
http://www.supremecourtus.gov/opinions/07pdf/07-343.pdf
http://www.supremecourtus.gov/opinions/07pdf/07-219.pdf

(お願い)
この雑感で書かれた記事の内容は、特定の事件や案件に関するものではありません。あくまでも一般論としてお話しするだけです。また、個別の事案に関してアドバイスするものでもありません。記事を読んで御自身が抱える法律問題を解決しようとしないでください。弁護士などの専門家から直接アドバイスを受けてください。

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